SDGs12 つくる責任 つかう責任 友野研究室にも関係する「水資源」のお話し&「mymizu」アプリの紹介

SDGs12 つくる責任 つかう責任 友野研究室にも関係する「水資源」のお話し&「mymizu」アプリの紹介

およそ、2年前より水資源(共同研究者:鎌田素之先生)に関する研究をスタートしています。研究内容で紹介した層状化合物はキャパシタ材料としての用途の他に,吸着物質としての性質があります。この層状化合物の層間に集合性をもったイオンを導入し,層状化合物のイオン交換能と層間イオンの性質(凝集性・分解性)を利用した環境汚染物質の回収と分解に関する研究を進めています。(※詳しい説明はまた別の機会に。> 機能性薄膜の創製 )

今回は,その研究を進める動機を書いておこうかと思います。

SDGsについて

さて,SDGs(;Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))は,2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた【目標】です。SDGsは【17】の大きな目標と、それらを達成するための具体的な【169】のターゲットで構成されています。17の目標と169のターゲットは、コチラ

SDGsの17の目標

さて、「環境汚染物質の回収と分解」の研究課題では,「SDGs12 つくる責任・つかう責任」に深く関係し,「SDGs6 安全な水とトイレを世界中に」にも間接的ですが関係があります。

水資源について

マイクロプラスチックと絡めて

つかめる水 (ooho!)

つかめる水」をご存知の方も多いかと思います。私も家で子どもたちと作りました。アルギン酸ナトリウム乳酸カルシウムによる反応で膜ができるのですが,その膜に水が閉じ込められるために「つかめる」水となるわけです。つかめる水のキットも売ってますので,お家でもお手軽にできますし,食用の原料も購入することができますので「飽きるほど」お家で科学実験もできます。食用であればお家で食べることもできます(あんまり美味しくない)。

さて,この「つかめる水」は「わーい!水つかめるよ~」という単純な科学的好奇心だけではなく,ロンドンの若者集団が昨今のプラスチック(ペットボトル)による環境問題から「リサイクルされずに8割近くの破棄されるペットボトルをなくそう!容器のまま飲もう!」と考えたことが「きっかけ」となって世界中で注目され始めました。このイベントは後に受賞しています。【Lexus Design Award 2014を受賞】。
今では家庭で出来る科学キットとして販売されています。(※昔から人口イクラの作り方として知られていましたが,既存技術を現在の問題と絡めて発信することで,世界中で注目される例のひとつとして記憶しています。】

私が所属する学科でも,「植物由来の原料をベースとする新規なバイオポリマーに関する研究」を行っている香西博明先生もいます。ご興味のある方は,コチラです。

さて,マイクロプラスチックによる環境汚染だけではなく,「」自体も世界的課題となっていることをご存知でしょうか??

世界における水資源の現状

蛇口をひねれば水が出るのが当たり前の日本ですが、海外旅行経験者は,日常的に安全な水を使える地域がそんなに多くないことを知っているかと思います。ペットボトルの水を買いますよね!

日本においても節水制限を経験した方がいるかと思います。SDGs6のターゲットの中に「すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」があります。日本にいるとあまり想像できませんが,世界では安全な水を得ることができず,また衛生的なトイレを利用できない人が大勢います。安全な飲み水については深刻な課題といえます。

この課題を解決するためには,水源の管理や水不足の対応など科学の力も必要となります。2030年までにSDGs目標を達成するためにも,安定な水資源の供給を様々な角度から検討すると同時に,日本においても「水資源」の重要性を訴えていく必要があります。当研究室でもラボレベルでの水環境改善の取り組みや学生や地域発信を通して開発途上地域への水処理技術の支援など,国際的にも取り組んでいく必要があるのではないかと考えています。

ご存知のように,人間の50-75%は水で出来ていますし,この地球も表面の3分の2が水でおおわれています。この地球に存在する「水」の大部分は「海水」であり,「淡水」はわずか2.5%程度です。さらには、その大部分の淡水は氷河や地下水であり,我々人間が利用しやすい状態で存在する「水」はわずか0.01%(10万立方キロメートル)です。 【出典:国土交通省

日本国内では少子化が問題ですが,世界的には今なお人口は増え続けており,2050年には95億人(2020年;78億人)を突破すると予想されています。そして,2019年度時点で「総人口の2分の1程度の36億人が月に1度は水不足」に陥るリスクある生活を余儀なくされています。つまり、今後の人口増加に伴い水需要のますますの増加は避けられず,さらには「水資源」の奪い合いによる「水紛争」が実際に起きています。【出典:環境省総合環境政策

人間開発報告書2006」によると、「世界全体を見ると、すべての人に行き渡らせるのに十分なだけの水量が存在しているが、国によって水の流入量や水資源の分配に大きな差がある」という問題点が指摘されいます。日本やカナダのように目立って水資源に困らない国もあれば,中東諸国のように水資源量に対して水の利用料が大きく上回っている水資源に困窮している地域もあります。グローバル化社会である地球においては,「水資源の不足」は地域の問題ではなく,世界にとって大きなリスクとなり積極的に取り組む必要があります。

日本の上下水道は高い水準であることを皆さんもなんとなくわかっているかと思います。技術者や研究者となりうる読者さんにおいては、この「水資源」の問題を自分のことのように捉え,世界の水資源や水不足の問題について現状を知っておくことが大事です。そして,身近なできることから行動することが必要かと思います。

そこで,今回は身近な行動できることとして「mymizu」アプリを紹介したいと思います。

「my mizu」アプリの紹介

LINKAI横浜金沢で当ラボの配属学生さんに様々な学外経験を提供してくださる企業さんから紹介されて知ったアプリです。

「mymizu(マイミズ)」アプリ
当然無料のダウンロードはApple Store 

このアプリは,なかなかどうして前述で書いたように【個人レベル】で,今すぐにでも「地図に残って参加できる」水問題に「少しずつコツコツ」と貢献できるアプリです。

昨今の環境問題を意識したオシャレでエコなマイボトルが人気です。スタバやコンビニなどマイボトルを持ち込みOKな店も増えていて,マイカップにもなるマイボトルを持ち運んでいる人も増えています。うちの子ども達も毎日学校に水筒(マイボトル)をもっていっていますし,私もお気に入りのマイボトルを持っています。

「リファイルスポット」ってご存知?

例えば,無印良品では一部店舗に給水機を設置しています。日本では,身近なところに給水できる場所がたくさんあります。この活動を個人で助けることができるのが「mymizu」アプリです。この給水スポットを探す取り組みとしては,オランダの「TAP」イギリスの「Refill」が有名です。この給水スポットを探す取り組みには,多くのボランティアが貢献しています。アプリを見ていただければわかりますが,日本ではまだまだ「給水スポット」の登録が進んでいません。皆さんもお子さんやご友人と一緒に「mymizu」アプリを使って給水スポットをみつけて登録することで,「水資源」について考える【はじめの一歩】になるかと思います。

さて,「mymizu」アプリの使い方は【簡単」な割に【地図に残る】活動に参加できるところが魅力です。ダウンロードしてアカウント登録(私はFacebookと紐づけ)したら、すぐに活動に参加できます!

実際の画面はコチラです。

ロンドン@イギリス
関東学院大学@横浜市金沢区

給水スポットには青い目印が立っています。ロンドンや諸外国をのぞいてみるとやはり環境先進国だからでしょうか,民間企業も合わせて多くの「給水スポット」が登録されています。

日本においては,まだまだ登録が行き届いていないところも多数あります。皆さんの通学・通勤途中の公園はまだ未登録だったりもします。(私は日々寄り道をしては、コツコツと登録しています。運動にもなります。)

さて,登録方法ですが

  1.  アカウントを登録
  2.  アプリを立ち上げて、給水スポットの30m以内に行く。
  3.  左下の「給水スポット」を追加 をクリック
  4.  「公共施設(公園,駅など)」or「私的施設(お店,カフェ、ホテルなど)」を選択
  5.  「施設名または場所名」「住所(自動入力)」「写真」「スポットの特徴」を入力後にプレビュー
  6.  登録すると「ありがとうございました。」と感謝されます。

登録後にすぐに反映されるわけではありません。内容を確認後に正式に「給水スポット」が表示されます。
(※地図に残る活動っていいですよね。)

「スポットの特徴」には,「給水機は公園内のトイレ近くに設置されています。/ Water supply machine is located near the toilet in the park.」とか「 給水機は10号館のコンビニ近くにあります。/Water machines are located on the ground floor of Building 10, near the convenience store.」とか書くと良いでしょう。

なお、日本にも2019年5月に「Refill Japan」が立ち上がり,日々給水スポットを広げる活動が行われています。共感していただいた方は、ぜひ「Refill Japan」の活動にも注目してみください。(インターンとかもやってます!)

最後に、水環境に関するいろいろなことを知識として得たかと思います。知識は面白いもので,世界が違って見えます。「mymizu」アプリをスマホにダウンロードしたのであれば,これまで気が付かなかった給水スポットにも気が付くようになります。そして、デジタルデータではありますが,皆さんが登録した記録は数年後数十年後でも見ることができます。授業等で数百年前の偉人の言葉を目にすることがありますが,記録や文字というのは「場所も時間」も超越できるすごいものだとつくづく感じれます。この感覚をぜひとも味わってください。

研究室(学外活動)のあれこれカテゴリの最新記事