オゾン(O3)を嗅ぐ方法

オゾン(O3)を嗅ぐ方法

オゾン層

オゾン層 (Ozone Layer)

高度約10-50kmほどの成層圏に多く存在します。太陽光からの有害な紫外線を吸収することで,地表に到達する有害な紫外線量を減らしてくれています。

オゾンは臭い?

オゾン層は,スイスの化学者シェーンバインが1839年に発見し,その特有の刺激臭からギリシャ語の【くさい】を意味する”Ozein”に基づいて命名しています。

この【くさい】匂いの通り,オゾンは腐食性が高く,生臭く刺激臭をもつ有毒な気体です。なんか,地球表面で太陽からの有害な紫外線を吸収してくれたり,オゾン層に穴が開いたときに世界中が大騒ぎになったことから,オゾンはポジティブにとらえられていることから,【オゾンが有毒】と知ると「あれ!そうなの!」という反応があります。

オゾンの作り方

オゾンは,酸素原子が三つ結合した分子です。水と同じで折れ線型の構造をもちます。

オゾンがどのように生成されているかというと

3O2 + 光 → 2O3 

紫外線を酸素分子(O2)が吸収することで,酸素原子(O)に解離します。その酸素原子(O)が酸素分子 (O2) と反応することで,オゾン(O3)ができると考えれれています。生成したオゾンは、また紫外線を吸収することで酸素原子と酸素分子に解離します。さらには,オゾンは不安定な分子であるために,高温・高圧で酸素分子への解離が進行します。

そのため,地表付近では,オゾンはほとんど発生しませんし,空気中で安定にも存在しません。

オゾンを嗅ぐ方法

コピー機で大量にコピーや印刷した時の「変なにおい」がオゾンの匂いです。

コピー機等には,排気ファンに「オゾンフィルター」が設置されてあるので,環境基準である0.1ppm(0.2g・cm3)以下に抑えられているので人体には影響はありません。まー、犬や動物までとは言いませんが,人間の嗅覚は鋭いので0.01ppmでも臭気を感じる方がいるそうな。

オゾン臭が発生する理由

さて,コピー機からオゾンが発生するのが疑問に残るかと思いますが,コピーの仕組みを考えれば納得です。コピーでもレーザープリンタータイプの機種は

  • 帯電:感光ドラムの表面全体に静電気が発生
  • 露光:印刷データのパターンを帯電した感光ドラムに画像を転写
  • 現像:感光ドラムにトナーが近づくと,静電気のない部分いだけトナーが付着
  • 転写:感光ドラム表面にコピー用紙を密着させ,コピー用紙裏側から電荷を書けることで,感光ドラムのトナーを紙に転写
  • 定着:トナーが転写された紙に熱と圧力でもって固着させて,トナーが紙に定着してコピー完了です。

このコピーの流れの序盤である【帯電】で「コロナ放電」が行われために,空気中の酸素が反応しオゾンが発生します。

なお、インクジェットタイプのコピー機ではオゾンは発生しませんよ。

まとめ

昔は,定期試験前に「過去問」をたくさん印刷して試験に備えていました。同時に大量のコピーを行うので,オゾン臭を感じることもできました。今は,ペーパレスの時代ですしデータの送付も簡単になったので,コピーして紙を大量に排出することもなくなってきましたね。

紙をコピーする機会がありましたら,是非とも「オゾン」の存在を感じてみてください。

環境化学カテゴリの最新記事