物性を左右する最表面 表面分析のダイジェスト

物性を左右する最表面 表面分析のダイジェスト

表面・界面とは、何でしょうか?

化学的なことを言うと,2つの相の境界を「表面あるいは界面」と言うように思います。

界面化学は英語で「Interface Chemistry」と訳されます。インターフェイスといえば,PC言語でよく聞きますが,その意味を辞書で調べると「接触部分」という日本語があてられています。

つまり,「表面・界面」は,その物質が性能を発揮する「入口」とも考えることができます。

写真は,小腸内の「輪状ひだ」です。

中学校で学んだかと思いますが,小腸内にはこの「ひだ」が沢山あることで,表面積が大きくなっています。

表面積を広げる理由は明確で,短い距離で効率的に多くの栄養を吸収するためです。

参考:写真はコチラのブログ

さて,今回はそんな「表面」を観察する装置に関する紹介です。

当大学が所有している表面観察装置

下記に当大学が所有している装置をご紹介します。

SEM:走査型電子顕微鏡

SEMは,光学顕微鏡では観察不可能な微小な表面構造を「鮮明に観察」することができる装置です。

さらには,私たちが肉眼で見るような感覚で,3次元的な画像を観察できる装置です。

SEM:走査型電子顕微鏡

JSM-6510

さらには,EDS(エネルギー分散型X線分光法)を併用することで,観察している画像の「元素分析」が実施可能なタイプがあります。見ている画像にどんな元素が含まれているかわかります。

SEMーEDS:走査型電子顕微鏡

JCM-6000

EDSによる元素分析も実施可能です。

TEM:透過型電子顕微鏡

光学顕微鏡は物を拡大することで,人の目でも詳細に観察することができます。拡大率をどんどん上げていけば,原子レベルまで観察できるかと言うと,それは「見えません」。光(照明)を使った光学顕微鏡では小さな物体を識別する能力(分解能)が低く,我々が認識できる「光の波長」よりも小さな構造は見ることができません。

これを解決したのが,ルスカ(独)先生等の学者です。「マジ、かっこよい!」

光の代わりに電子線を使った「電子顕微鏡」を開発し,原子の並びさえ識別できるようになりました。

TEM:透過型電子顕微鏡

HT7820

生命科学コース所有>>コチラ

SPM:走査型プローブ顕微鏡

走査型プローブ顕微鏡とは,IBMのビニッヒらによって開発された走査トンネル顕微鏡をベースに様々な形で進化してきた顕微鏡群です。SPMには,STMとAFMがあります。表面形状をプローブ(探針)で操作するため,表面粗さから始まり表面の「摩擦・粘弾性・磁気・電位」など,様々な原子レベルでの物性を調べることができます。

原子をおいて「IBM」と書いたのはあまりにも有名な話

STM gallery

AFM:原子間力顕微鏡

SPM-9500J2

友野研究室で所有

上記に示したように,当大学には様々な分析装置が設置されています。是非とも,社会に出る前に「壊す直前」まで装置を使い倒していただければと思います。

授業動画の紹介

上記で紹介しました装置の原理について,YouTube授業動画を公開しています。

ダイジェストとしてご紹介していますので深く学ぶ前の【導入】にご利用ください。

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