当ラボでも研究対象としている「錯体化学」。
本当は,有機合成して配位子を作ったりしたいのですが,とにかくラボ面積が狭いのであきらめています。。。有機合成って楽しいのですが時間がかかるので,物性まで測定することを考えると現実的ではないのも事実です。
とはいいつつも,錯体化学における「立体化学/Stereochemistry」はとても大事です。
今回は,それらをまとめたYouTube動画一覧をご紹介します。
なお,HGS分子模型 有機化学学生用セット があると理解が早いです。
錯体化学の基礎の「キ」
新しい分野でもあるので,Web上で調べ物をするためにも「ボキャブラリー/語彙力」は必要です。
錯体化学で頻出するボキャブラリー等をまとめました。
複数種類の配位子がひとつの金属イオンに配位するとき,幾何学的構造が異なる異性体が生じます。これを幾何異性体(geometrical isomer)といいます。
幾何異性体
鏡像異性体/エナンチオマー
我々の体にも多くの「エナンチオマー」があります。
耳や目や手ですね。
左手と右手は,指の数は同じですが,決して重ねることが来ません。
左手を「鏡に映したもの」は右手と重ねることができます。
化学の世界でも,多くの「エナンチオマー」が存在します。
シスとトランス トランス効果
化学式が同じでも,構造が全く違うものがあります。
トランス体とシス体です。
中央のエチレン(C=C)に対して,両端のCH3の付き方が違うのがわかると思います。
シス体とトランス体は,確率的にどのような生成比になるかを推定することができます。
しかし,この推定通りにはなりません。
この理由として考えられたのが「トランス効果」です。
トランス影響と遷移状態効果がどのように「トランス効果」に影響するかを講義しました。
fac(ファク)体とmer(メル)体
錯体化学と言えば,六配位八面体構造ですね。中央の金属イオンを含むか否かが見分けるポイントです。
デルタ体とラムダ体
意外にちゃんとわかっていない人が多いのが,デルタ体とラムダ体です。
大文字のΔ体とΛ体はわかりやすいのですが,ジアステレオマーを構成するδ体とλ体をきちんと説明できる学生さんは少数です。
RS表示とCA表示
有機化学で必ず学ぶ「RS表示」。
錯体化学の世界でも配位子のRS表示に加えて,全体構造のCA表示なんてものもあります。
EZ表示
錯体化学のシス・トランスは動画作成済みですが,そういえば有機分子についてのシス・トランスからEのEZ表示の説明が抜けていたので追記です!
ニューマン投影図
投影図はみっつあってその一番初めに学ぶのがニューマン投影図です。ブタン(C4H10)の場合,1位と4位の炭素の位置関係から,様々な名称があります。あまり授業ではやらないっぽい,「クリナル」や「ペリプラナー」についても解説しました。
フィッシャー投影図
フィッシャー投影図からのジグザグ構造への返還方法のコツやハース投影図の書き方を解説しています。
演習問題
錯体化学の授業動画をご覧いただいた後は,腕試しですね。
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